デザインの重要性はとてつもない。
そして想像を絶する程難しく、ハードな仕事だ。
私はその事を、会社を始めるまで、分かっているようで全く分かっていなかった。
デザインは全てを貫く強烈な意志だ
あなたの会社で取り扱っている商品がドラ焼きだとしよう。
アンコは最高の小豆を使い、丹精込めて作り出したアンコだ。
アンコのクオリティではどこにも負けない。
世界一のアンコだとする。
しかし、最高のアンコだというだけで、店に顧客が押し寄せるわけではない。
まずは、どんな皮でアンコを包むかが大事になる。
味は元より、手に持ってみた時のサイズや、色味も重要だ。
店構えや内装も忘れてはいけない。
どんなに良い商品であっても、店がボロボロだったり、不衛生であれば顧客は近寄らない。
どら焼きをを提供する販売員も大切だ。
販売員が無愛想だったり、価格を間違えたり、顧客の言っている事をちゃんと汲み取れなければ、二度と商品は買ってくれないだろう。
どら焼きの事を知ってもらうチラシなどの広告も重要だ。
その存在を知らなければ、誰もお店には来てくれない。
そして何よりも大事なのは、商品、店、販売員、広告に一貫性を持たせることだ。
商品のウリはなんなのか。
美味しいのは間違いないが、アンコが高級なのが売りなのか、素朴な味が売りなのか、プレミアム性が高いのが売りなのか、決めなくてはいけない。
高級路線で行くと決めたら、サイズ、見た目、店、販売員、広告で同じ印象を持ってもらえるようにしなくては行けない。
高級路線なのに、やたらとボリューミーだったり、店員がTシャツを着ていたり、店内やメニューがポップだってりしてはいけないのだ。
神の如き緻密さと残忍さ、完璧さ
「顧客になにを感じてもらうか」を追求するのは、想像を絶するほどハードな仕事だ。
そして「どうやって感じてもらうか」を具体化するのは、想像を絶するほど難しい。
まさに、世界を創り出した神にも等しい行為だ。
なんとなくカッコいいサイトは作れても、本当に使いやすく、ブランドコミニケーションが一貫され、顧客に愛されるサービスを構築するのは並大抵の事ではない。
「顧客に喜んでもらえるようにサイズを大きくしよう」
「いやいや、自然素材こそ今は求められている。素朴さを出すようにしよう」
「価格訴求だ!価格よりも強烈な魅力は無い!」
どの要望も正しく、それ単体で見れば間違ってはいない。
だが、それらを全て入れ込もうとすると、とても魅力的なサービスは生まれない。
全てに整合性を持たせ、圧倒的に使いやすく、魅力的なサービスを生み出す為に、数々の「No」を連発し、徹底的に考え、緻密に設計する。
圧倒的に作り込まれた完璧なデザインには、本当に衝撃的な感動を覚える。
だから私はデザイナーを尊敬する。
神のように崇める。