ベンチャーにおける採用は、「自分達より優れた人を採用する」という鉄則を絶対に守る必要があります。
間違っても「人が足りないから妥協して採用する」ことは絶対にあってはいけません。
妥協して採用することは誰にとっても(現場にとっても、マネージャーにとっても、採用担当者にとっても、採用された人材にとっても、経営者にとっても)、とてつもなく不幸な結果にしかならないからです。
ベンチャーは不確実性のかたまり
ベンチャーは不確実性のかたまりです。
正解が分からないこと、誰もやったことがないことに挑戦するのがベンチャーです。
だからこそ、大きく成長する可能性があるのです。
正解が分かっており、みんながやっていることをやるのは中小企業です。
中小企業が悪い訳ではなく、ベンチャーが特殊だということです。
正解が分からない中で活動していくので、手探りで自律的にアウトプットを出しながら仕事を進めていく必要があります。
これは相当にハードルが高いことです。
誰かが仕事を教えてくれるのかというと、他の人も自分の仕事で手がいっぱいであり、手取り足取り誰かが仕事を教えてくれるということはありません。
自分自身で当事者意識を持ち、トライアンドエラーを繰り返していく必要があります。
その過程の中では、傷付くこと、ハードなこともたくさんあります。
スキルセット、マインドセットが相当しっかりないと、手探りで自律的にアウトプットを出しながら仕事を進めることは出来ません。
一方、言われたことだけやっている人材だらけになると、ベンチャーはあっと言う間に成長しない会社になってしまいます。
自分達より優れた人を採用することでベンチャースピリットが保たれる
そもそもベンチャー企業の門を叩く人というのは、希少人材です。
なぜわざわざ、不確実性が高く、安定しないベンチャー企業に入社しようとするのか。
それは「自分を成長させたい」「世の中を変えたい」という素敵な想いがあるからだと思います。
「自分を成長させたい」という人にとっては、自分よりも優秀な人が多数いる環境であれば、毎日が刺激に溢れた毎日になります。
一方、自分よりレベルが低く、他人の悪口ばかり言っている人が多数いる環境であれば直ぐに「辞めよう」と思うでしょう。
「世の中を変えたい」という人にとっては、自分よりも優秀な人がいる多数いる職場であれば「このメンバーなら世界を変えられる!」とワクワクします。
一方、自分よりレベルが低く、スキルや行動が3ヶ月前と変わらない人が多数いる環境であれば直ぐに「辞めよう」と思うでしょう。
「自分を成長させたい」「世の中を変えたい」という素晴らしい想いを持つ人が満足し、その想いを実現するためにも、自分達より優れた人に絞って採用するする必要があります。
人材の量と質、どちらが大事なのか
「自分達より優れた人を採用するべき」とは言っても、現在の日本は空前の人材難です。
優れた人材を採用することは並大抵の難しさではありません。
では人材の量と質、どちらの優先順位が高いのでしょうか?
ベンチャーの場合、明確に「質」だと言えます。
自分達よりも優秀な人材を採用出来ないのであれば、絶対に採用するべきはありません。
採用出来ないことによって事業計画を変更せざるを得ないとしても、それでも採用の質を優先するべきです。
質を下げて採用すると、次のような看過できないマイナスが出てきます。
- ベンチャースピリットが失われる
- 社内カルチャーが崩れる
- 優秀な人材(ハイパフォーマー)が退職する
- 教育のためにハイパフォーマーの時間が使われ、一人当たりの生産性が著しく下がる
- 任せようと思っていた仕事が実は任せられず、権限委譲出来ない(教育する時間が取れない、仕事の内容が実は頻繁に変わる、都度何をするべきか考える必要がある)
- 採用した人材のアウトプットが出ず、赤字が拡大する
- 採用した人材のアウトプットが出ないことから、採用した人材からも、既存メンバーからも不平不満が出る(そして解決出来ない)
- ローパフォーマーの基準に、社内の基準が合わせられる
- グレートを目指さず、グッドどころかSOSOで良しとするようになる
- 結果、会社ミッションを達成出来なくなる
人を採用しないと事業計画に遅れが出ます。
しかしベンチャーでは、間違った人を採用すると会社が倒産します。
それでも、どうしてもリソースが必要な場合は、質を下げて採用するのではなく、外部のリソースを活用するべきです。
採用は全社員の仕事
どれだけ優秀な人材を採用出来るかどうかは、ベンチャーの命運を分けます。
採用はもはや人事部だけの仕事ではなく、経営陣・マネージャー含めた全社員の仕事です。
特に経営陣・マネージャーにとって「リファラル」で人を採用出来るかどうかは、必須要件です。
仕事が出来るかどうかだけでなく、「人を惹き付ける魅力があるか」「人が一緒に働きたいと思える環境を作れるかどうか」が経営陣・マネージャーに「スキル」として求められる時代になったと言えます。